上國かみがた)” の例文
新字:上国
近頃になつて上國かみがたから來た人の又聞の話に據ると、老僧の遺骸は滿洲に居る次男が歸つて來るまで、其のまゝにしてあつたが、次男のところがなか/\知れなかつたので
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
それが偶然音樂會の切符とともにかくしから出て來たので、妙に懷かしい氣持ちで見てゐたのは、上國かみがたの旅行後二週間ほど後で、空からは陰鬱な五月雨を催しかゝつてゐた。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
上國かみがたに遊んだ時、麥畑の間を走る小さな痩せた電車で、願念寺の二重屋根を見ながら通つたから、一寸立ち寄つて見ようかとも思つたが、おつくふでもあつたし、老僧の在否も分らなかつたので
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)