万寿まんじゅ)” の例文
長政とお市の方とのあいだにありと聞く四人の和子わこ。——そのうちの万寿まんじゅ茶々ちゃちゃにちがいないと直感したからである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寝所からとび出すと、大廊下を駈けめぐり、声をめあてに、茶々ちゃちゃ万寿まんじゅ跣足はだしで庭へとび降りた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
万寿まんじゅ。わからないことをいうものではありませんよ。おかあ様がおいとしいと思いませんか。お父さまが、敵と戦っているのがわからないんですか。……ねえ、おかあ様」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやその五大院ひとりでは、万寿まんじゅ亀寿かめじゅの幼い兄弟ふたりを、しょせん一時に助け出すことはなるまい。兄の万寿はよそへ落したろうが、弟の亀寿は、たれの手にまかせたことか」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高時との仲にした当年九ツと七ツになる二人の和子があったので、わが身もなく、兄の万寿まんじゅを、五大院宗繁にあずけて先へ逃がし、弟の亀寿かめじゅは、諏訪すわ三郎盛高が、これを負って、遠くへ落ちた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)