一周ひとまわ)” の例文
覆面に使っていた黒布を、手拭のように腰に挟むと、彼は、大地にはびこっている巨松の根を、一周ひとまわりぐるりと巡ってあるいた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして秋だったら、由布山のふもと一周ひとまわりして来れば、初茸はつたけかご一杯とれるのにと残念がってくれた。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
私はこういうY村に於ける私の悲歌エレジイをいつか一ぺん書いて置きたいと思っていた。それから数年後の、或る秋晴れの日だった。私は自転車に乗って、その村を一周ひとまわりして来ることを思いついた。
三つの挿話 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そのうちに、夏が一周ひとまわりしてやってきた。
麦藁帽子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)