一人坊ひとりぼ)” の例文
一人坊ひとりぼっちになるとそろそろ腹のすいたのを感じだしでもしたか、その子供は何の気なしに車から尻を浮かして立ち上がろうとしたのだ。
卑怯者 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
げかかった山高帽を阿弥陀あみだかぶって毛繻子張けじゅすばりの蝙蝠傘こうもりをさした、一人坊ひとりぼっちの腰弁当の細長い顔から後光ごこうがさした。高柳君ははっと思う。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「とにかく行こう。君はなんでも人の集まる所やなにかを嫌ってばかりいるから、一人坊ひとりぼっちになってしまうんだよ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どうしたって、このんで一人坊ひとりぼっちになって、世の中をみんなかたきのように思うんだから、手のつけようがないです」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)