“せりょう”の漢字の書き方と例文
語句割合
施療100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
アツシを着た四十左右の眼の鋭い黒髯こくぜん蓬々たる男が腰かけて居る。名はヱンデコ、翁の施療せりょうを受けに利別としべつから来た患者の一人だ。此馬鹿野郎、何故なぜもっと早く来ぬかと翁が叱る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
今の徳さんには入院料を支弁する力もない。さりとて仮りにも一を持っている者の家族には施療せりょうを許されない規定になっているので、徳さんはとうとうその家を売ることになった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
柿本が入れられたのは支那人を追い出した、支那人への施療せりょう病室だった。白ペンキが禿げた鉄寝台、汚点しみだらけの藁蒲団、うみくさい毛布。敷布や、蒲団蔽いはなかった。普通の病室よりは悪かった。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)