或る夏、一つのさるすべりの木が私を魅してゐた。ホテルの二階の窓から、私は最初その木を認めた。其處からは、丁度物置かなんぞらしい板屋根ごしにその梢だけが少し見えてゐたので、私はそれをホテルの木だとばかり思つて、ときどき何といふこともなしにそれ …
| 著者 | 堀辰雄 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
| 初出 | 閑古鳥「新女苑 第一巻九号」1937(昭和12)年9月号
山茶花など「新女苑 第二巻第一号」1938(昭和13)年1月号 |
| 文字種別 | 旧字旧仮名 |
| 読書目安時間 | 約26分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約42分(300文字/分) |