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気儘
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きまま
ふりがな文庫
“
気儘
(
きまま
)” の例文
旧字:
氣儘
勝手
気儘
(
きまま
)
な方向に動いているけれども、いったんそのどこかに注意を向けさせると、その部分の運動がピタリと停止してしまうのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ニコロは生れがいいので
気儘
(
きまま
)
で運命には従順な女なのだが、ブルジョアが滅んでからというものは信仰は痛快にも焼払われてしまった。
恋の一杯売
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
余りの
煩
(
わずら
)
わしさと、富を目当の求婚のおぞましさに、茂は親切な
乳母
(
うば
)
に任せ、たった一人で、偽名をして、
気儘
(
きまま
)
な湯治に出掛けたのだが。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……何か命令をされたようで、自分
気儘
(
きまま
)
には、戸一枚も勝手を遣っては相成らんような気がしていたのでありますけれども……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自由
気儘
(
きまま
)
にグングン訳し、「昔のような
糞
(
くそ
)
正直な
所為
(
まね
)
はしない、
拙
(
まず
)
い処はドンドン直してやる」と、しばしば豪語していた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
こういう字が嫌いだとかいうようなわがままを
敢
(
あ
)
えていたしまして、自分の好き
気儘
(
きまま
)
な習い方をするのがよいと思います。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
気儘
(
きまま
)
な御大名の気まぐれな思附きでも一方から見ればその大名の好事心、世話焼心を満足せしめたという結果があり
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうかと云って外の男の所へ行っても、己ほど彼女を大事にしてやり、気随
気儘
(
きまま
)
をさせて置く者はありゃしないんだ。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然し、他家へ行って膝を屈するような事を
滅多
(
めった
)
にしない大名育ちの自分の
気儘
(
きまま
)
は出すべきでないと、反省もした。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さて先代
御成仏
(
ごじょうぶつ
)
の後は愚僧住職の身に御座候へば、
他出他行
(
たしゅつたぎょう
)
も自由
気儘
(
きまま
)
に相なり候故、夜中再び人知れずかの大木に攀上り、九拾両の中四拾両ほど取出し
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ではどうするといって、主水の頭から答えは出て来ないが、愚にもつかぬ悪党どもが、自由
気儘
(
きまま
)
に
跳梁
(
ちょうりょう
)
するのを見すごしていては士道の一分が立ちかねる。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「お前さんは、これから江戸の方へ帰りなさるとも、また甲府の方へ行ってみようとも、もうわたしたちにかまわないで、自分の
気儘
(
きまま
)
にしておいでなさい」
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
裁判所は君のこみいった事件を解決しようと努力してきたのでなかったか? 君はそれに
気儘
(
きまま
)
勝手に水をさし
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
これから、おれが、弟分にして、この江戸中を、ぐんぐんと引廻してやるから、勝手
気儘
(
きまま
)
に羽根をのばしなせえ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
どうも馬翁という老人の様子をみると朋輩のいったように必ずしもわが
儘
(
まま
)
ばかりの人物ではなさそうだ。多少誇張して勝手
気儘
(
きまま
)
をして見せている様子がある。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
作太郎と表向き夫婦にさえなってくれれば、少しくらいの
気儘
(
きまま
)
や道楽はしても、大目に見ていようと云ったと云う養母の弱味なども、父親には初耳であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
浜田屋喜平というのは、町内の紙屋の隠居で、
気儘
(
きまま
)
に遊びたいばかりに、婿の儀八に身上を譲ったという変り者。五十歳の、恐ろしく気の若い小意気な男でした。
銭形平次捕物控:052 二服の薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
高々三月か四月しか
陸
(
おか
)
にいないんだから、後は寝て暮らそうとどうしょうと
気儘
(
きまま
)
なもので……それに、
貰
(
もら
)
う方でなるべく年寄りのある方がいいという注文なんだから
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「照れば降れ降れば照れとの叫びかな」で、私ども人間は勝手なものです。照ればもう降ってくれればよい。降れば、もうやんでくれればよい。実に
気儘
(
きまま
)
な
存在
(
もの
)
です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
翌年の新学期から必ずまた学校へ行くという条件で、しばらくは私の
気儘
(
きまま
)
を許されたのである。父も敢て私を咎めるでもなかった。ただ祖母がひどく御機嫌斜めだった。
前途なお
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
一週に一度は、派出婦がやって来て、食料品を
補
(
おぎな
)
ったり、洗い物を受けとったりして行くのが例だった。いつまで寝ていようと、もう
気儘
(
きまま
)
一杯にできる身の上になった。
俘囚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
できるだけ
気儘
(
きまま
)
に勢力を費したいと云う娯楽の方面、これが経となり緯となり千変万化
錯綜
(
さくそう
)
して現今のように混乱した開化と云う不可思議な現象ができるのであります。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はまた何をしても
敵
(
かな
)
いそうもない
喧嘩
(
けんか
)
早い子供たちを恐いとは思いつつも窮屈な陰気な家にいるよりも誰に
咎
(
とが
)
められることもなく
気儘
(
きまま
)
に土の上を馳け廻るのが面白くて
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
気儘
(
きまま
)
勝手にくらしていながら、その日に窮している貧しい農夫が
羨
(
うらや
)
ましい、夫婦親子のむつみあう姿を見ると、羨ましいと思いこの胸が嫉妬で裂けるようだ、……半三郎
菊千代抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
実
(
げ
)
に彼は
某
(
なにがし
)
の妻のやうに
出行
(
である
)
かず、くれがしの
夫人
(
マダム
)
のやうに
気儘
(
きまま
)
ならず、又は
誰々
(
たれだれ
)
の如く
華美
(
はで
)
を好まず、
強請事
(
ねだりごと
)
せず、しかもそれ等の人々より才も
容
(
かたち
)
も
立勝
(
たちまさ
)
りて在りながら
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それを
我邦
(
わがくに
)
の人は何でも
気儘
(
きまま
)
勝手に育てなければ放任でない自由でないと心得て大切な子供を
野放
(
のばな
)
し同様に育てるものが多い。実にとんでもない不心得と言わなければならんね。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
ふんだんにいい着物を着せてくれて、ふんだんに旨い物を食わせてくれて、
気儘
(
きまま
)
に遊ばせてくれたんだからな。……ええオイ本当にあんな所が、この世の極楽って云うんだろうぜ。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
峰から峰へと縦走する
気儘
(
きまま
)
な山岳の巡礼は、勝手に
是等
(
これら
)
の山脈を二にも三にも胴切にして、低い山はそれが主脈であっても、草鞋の先に突懸った石ころのように惜気もなく投げ棄て
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
彼女はそれをいかにも圭介らしいと思い、結局その方が彼女にも
気儘
(
きまま
)
でよかった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼が
気儘
(
きまま
)
に選ぶのではなく、自然が選ぶ自由に、彼を托しているからである。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
我々を制限すると見えた
凡
(
すべ
)
てのものもそれにとつては貫き通し得るものであつた。それは我々の存在の必然的な諸要素を
気儘
(
きまま
)
に処理するやうに見えた。それは時間を収縮し、時間を延長した。
ゲーテに於ける自然と歴史
(新字旧仮名)
/
三木清
(著)
当時の羅馬の制度として侵略せられた国の人民は勝手
気儘
(
きまま
)
にこれを連れて来て、奴隷として使っておりましたから、この中には
希臘
(
ギリシャ
)
、マケドニアあたりの水も滴るような美人もあれば、コス
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「そんな
気儘
(
きまま
)
を言ふものぢや無い。さ、
私
(
わし
)
と一緒に木を伐りに行かう。」
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
只
生命
(
いのち
)
だけは助けてやるから、その代り
賤
(
いや
)
しい乞食姿になって、何も見ず、何も聞かず、食べず云わず
嗅
(
か
)
がずに、世界中をうろ付いておれ。その
間
(
ま
)
に俺は王に化け込んで、勝手
気儘
(
きまま
)
な事を
為
(
す
)
るのだ。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
これと同じ事で人の師匠となり親分となるのにも第一に欠くことの出来ぬものはこの執着である。弟子や子分は
気儘
(
きまま
)
である、浮気である。決して師匠や親分が思っている半分の事も思っていやしない。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
気儘
(
きまま
)
勝手に自由な跳躍を
恣
(
ほしいまま
)
にするにいい雨ではないか。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
「本当に、今時の娘達は
気儘
(
きまま
)
なもんだ。」
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
今度もお前の
気儘
(
きまま
)
にさせて遣る。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
ところが
支倉
(
はぜくら
)
君、失神が下等神経に伝わっても、そういう連中が
各々
(
めいめい
)
勝手
気儘
(
きまま
)
な方向に動いている——それはいったい、どうしたってことなんだい。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
随分
内
(
うち
)
を
外
(
そと
)
の勝手
気儘
(
きまま
)
に振舞っていたから、奉公人には内の旦那さんは好い旦那と褒められたが、細君には余り信用されもせず大切がられもしなかった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかしこれは勿論わたくしが三田を去った直接の原因ではない。わたくしの友人等は「あの男は生活にこまらないからいつでも勝手
気儘
(
きまま
)
な事をしているのだ」
正宗谷崎両氏の批評に答う
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「そらもうあの人と来たら、うちがどんな勝手
気儘
(
きまま
)
な事してもなんともいやはれへんわ。けど、あんまり優しいよって、時によったら張合いないのんで、——」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
洋傘を振り腕を拡げて手に触れる熊笹を
毟
(
むし
)
って行く。それは少年のような身軽さでもあり、自分の持地に入った園主のような
気儘
(
きまま
)
さでもある。そしてときどき私に
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
小生に勝手
気儘
(
きまま
)
な自由ができるゆえんのものは、小生を束縛するものが皆無であるからだろう。親兄弟や妻子があっては、なんとしても妥協生活を免がれないだろう。
小生のあけくれ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その年ももう十一月で、銀子もほとんど健康を
恢復
(
かいふく
)
し、疲れない程度で、
気儘
(
きまま
)
に座敷を勤めていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
どうやらこうして
気儘
(
きまま
)
に
飲食
(
のみくい
)
ができて、ブラブラ遊んでいるのでございますよ、当分は、躑躅ヶ崎のお下屋敷の
片
(
かた
)
っ
端
(
ぱし
)
をお借り申して、あすこに住んでいるのでございます
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仕官をするばあいにも
食禄
(
しょくろく
)
の高がちがう、などということはそのほうの知ったことではない、そのほうはわしの代りに草庵へいって、勝手
気儘
(
きまま
)
に楽寝をしておればよいのだ
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「黙れ黙れッ、
気儘
(
きまま
)
に云わしておけば好き勝手な
囈言
(
たわごと
)
、
汝
(
おの
)
れ如きに身の指図を受けようか」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今の智慮あり趣味ありまた感化力ある人たちの、
気儘
(
きまま
)
な傾向のみに任せておいて、はたして常に世の中が善くなるとはきまっておらぬ。それには前に申した分配方法の不当である。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
要するに運動というより
気儘
(
きまま
)
勝手に遊び暮したという方で、よく春の休みなどになると、机を
悉皆
(
すっかり
)
取片附けて
了
(
しま
)
って、足押、腕押などいう詰らぬ運動——遊びをしては騒いでいたものである。
私の経過した学生時代
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
儘
漢検準1級
部首:⼈
16画
“気儘”で始まる語句
気儘頭巾
気儘勝手
気儘放題
気儘気随