野幇間のだいこ)” の例文
「ありや何だい、質屋の亭主だつていふが、野幇間のだいこだか、俳諧師はいかいしだか解つたものぢやない。あんな物識顏ものしりがほをする野郎は俺は嫌ひさ」
これが、丸持まるもち祕藏子ひぞつこだと、匙庵老さじあんらうみやくつて、氣鬱きうつしやうでごわす、とお氣晴きばらしを、とて、ぐに野幇間のだいこ變化ばけやつ
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そいつは蹴毬けまりの達人で、名も高毬こうきゅうといわれていた野幇間のだいこの遊び人。……どうでしょう母上、それが今日の禁林八十万軍の新大将高俅こうきゅうだったのです
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仲間のうちには、すべき「礼儀」をも「野幇間のだいこ」と間違えてせず、そのため「無礼者」扱いにされて憎まれ、不遇でいる気の毒な連中が少くない。
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
そうかといって、野幇間のだいこの仙公にはりている。薬籠持やくろうもちの国公は律義りちぎなだけで気がかず、子分のデモ倉あたりは、気が早くって腰が弱いからいけない。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「こいつは、いい、覚念坊というやつは、よっぽど洒落れた坊主だと見えるの。……とんだ野幇間のだいこだ」
顎十郎捕物帳:15 日高川 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
師匠に破門されてくるわにもいられず、今では下谷したやで小さい骨董屋のようなことを始め、傍らには昔なじみのお客のところを廻って野幇間のだいこの真似もしているという男で
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
武士、町人、鳶ノ者、折助おりすけ婢女げじょ田舎者おのぼりさん、職人から医者、野幇間のだいこ芸者はおり、茶屋女、女房子供——あらゆる社会うきよの人々が、忙しそうに又長閑のどかそうに、往くさ来るさしているではないか。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其の頃数寄屋町すきやちょうにいた清元三八きよもとさんぱちという幇間たいこもちでございますが、幇間にも種々いろ/\有りまして、野幇間のだいこもあれば吉原の大幇間おおだいこもあります、町の幇間たいこでも一寸ちょっと品のいのもあれば、がら/\致して
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ありゃ何だい、質屋の亭主だっていうが、野幇間のだいこだか、俳諧師だか解ったものじゃない。あんな物識ものしり顔をする野郎は俺は嫌いさ」
「ええ、手前達の手を触る体じゃあないんだい、御亭主が着いてるよ、野幇間のだいこめ、」と平手で横顔をぴたりと当てる。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
難なく扉があいて身を現わしたのは、例によって野幇間のだいこまがいのゾロリとしたおっちょこちょいの金公でゲス。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
では、陸謙りっけんと一しょのにやけ男は、富安ふあんという野幇間のだいこだろう。やつは、高家の御曹司の腰巾着こしぎんちゃくといわれている佞物ねいぶつ。だがその二人が遥々はるばる、なにしにこの滄州そうしゅうへやってきたのか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なに、見張りというわけでもねえ。あんまりからだがひまだから、野幇間のだいことおなじように、ここらへ出て来て岡釣りよ。そういう俺よりも、お光ちゃんこそ忙がしいからだで、ここらへ何しに出て来たのだ。おめえも色男の岡釣りかえ」
半七捕物帳:47 金の蝋燭 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
平次に注意されて、引返した八五郎は、間もなく泥醉した大坊主——野幇間のだいこの善吉を、ずつこけ相に引つ抱へて入つて來ました。
お許しが出たと見て、抜からぬ顔で障子を引開けて、ぬっと突き出した金公を見ると、どこで工面くめんしたか、ゾロリとしたなりをして、本物の野幇間のだいこになりきっている。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
万世橋向うの——町の裏店うらだなに、もと洋服のさい取をなやして、あざとい碁会所をやっていた——金六、ちゃら金という、野幇間のだいこのようなはげのちょいちょい顔を出すのが、ご新姐、ご新姐という
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
野幇間のだいこを稼業のようにしている巴屋ともえや七平は、血のような赤酒をがせて、少し光沢つやのよくなったひたいを、ピタピタと叩くのです。
国公を呼ぶにも国公様を以てする——門弟の道六に対しても、子分のデモ倉、プロ亀らに対しても、お出入りの馬鹿囃子に対しても、野幇間のだいこの仙公に対しても、その通り
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
其處そこです。」と野幇間のだいこ口拍子くちびやうし
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
野幇間のだいこを家業のやうにして居る巴屋ともゑや七平は、血のやうな赤酒を注がせて、少し光澤つやのよくなつたひたひを、ピタピタと叩くのです。
仙公という男は江戸から道庵先生がつれて来た、野幇間のだいことまではいかない代物しろものであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
野幇間のだいこの奇月宗匠は、庭の上へ蛙のように叩きのめされた上、手頃の石灯籠いしどうろうを首筋から背中に背負って、血へどを吐いて死んで居たのです。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
見ると、加島屋の主人は下手へたな狂歌なんか作つて見たくなつたんですね、町内の胡麻摺ごますりや野幇間のだいこを集めて急に雪見船を出すことになりました
親父の佐七は名題の嘘吐きで、野幇間のだいこのような頼りない人間ですが、あのは評判ものだから不思議じゃありませんか。
小梅の寮へ駆けつけた平次は、何より先ず庭に入って、野幇間のだいこの奇月が死んだ場所へ、八五郎に案内させるのでした。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
平次はそう言いながらも、念のために町内の野幇間のだいこ与作のところへ行って、その晩のことを詳しく話させてみました。
それにお長屋の衆が五六人野幇間のだいこの善吉に、藝者が二人、船頭が二人、總計十四人といふ多勢で、三味と太鼓の大狂躁曲に、四方あたりの船を辟易へきえきさせ乍ら
町内の油虫、野幇間のだいこのような事をしている赤頭巾の与作よさくが、こんな調子に煽動したのは、六月の末でした。
野幇間のだいこを稼業のようにしているくせに近頃は大変な景気だ。ことに清五郎なんか、地所を買ったり、家を建てたり、おりんの身請けをするという話もありますよ」
野幇間のだいこを家業のやうにして居るくせに近頃は大變な景氣だ。ことに清五郎なんか、地所を買つたり、家を建てたり、おりんの身請けをするといふ話もありますよ」
野幇間のだいこのノラクラ俳諧師はいかいしと、金だけはフンダンに持つて居る、日當りの惡い若旦那と、は持てゞ女を口説かうと言ふ、量見違ひの浪人者とそんなのが音頭取りで」
出雲屋の主人の弟岩三郎の死も、野幇間のだいこ奇月の死も、明らかに人手にかかったものですが、その下手人となると、ハタと行詰って、全く疑いをかける相手も無かったのです。
銭形平次捕物控:245 春宵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
船頭の三吉は、稼業しょうばい柄にもなく、水に落ちて死んだというだけのことですが、野幇間のだいこの七平の死骸には、背中からいた傷が一つ、水にさらされて、凄まじい口を開いております。
船頭の三吉は、稼業柄にもなく、水に落ちて死んだといふだけのことですが、野幇間のだいこの七平の死骸には、背中せなかから突いた傷が一つ、水にさらされて、凄まじい口を開いて居ります。
野幇間のだいこのような千三つ屋が、とんだ良い娘を持っていることや、その娘が、同じ町内の千両分限、米屋では神田でも屈指と言われた、出羽屋伝右衛門のせがれ伝次郎に見初みそめられたとか
下手な雑俳をたしなつゆ正吉しょうきちという中老人、これは野幇間のだいこのような男ですが、筆蹟が良いので瓢々斎に調法がられ、方々の献句けんくの代筆などをして、毎日のように入りびたっておりました。
この狂躁曲の演出者は、野幇間のだいこの善吉で、藝者の粂吉くめきちとお吉がその助手。それに女小間物屋のおけさ、その娘のお六、指物職人の勘太、その妹分のお榮など、いづれも申分のない藝達者でした。
それを取卷くのは味噌摺り俳諧師はいかいしに、野幇間のだいこ繪描き、貧乏御家人と言つた顏觸れで、そんな手合を呼び集め總勢二十三人、昨夜ののちの月、即ち九月十三夜の月見の宴を白鬚の寮にもよほしたのでした。
木之助といふ野幇間のだいこのやうな野郎が、昔の亭主だつたと言ひますが、これも一と身上をつぶした上、上方から追つかけて來て、今では、時々お妙の家を覗いて、お小遣にあり付いて居るやうだから
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「死んだ主人の弟で、あの野幇間のだいこみたいな野郎ですよ」
「死んだ主人の弟で、あの野幇間のだいこ見たいな野郎ですよ」