起伏きふく)” の例文
別の言葉でいえば、雲の上に起伏きふくしているとでもいうか、身体に風船をつけているとでもいうか、とにかく妙なことになった。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しん一は、おとうと背後うしろからのぞくと、なるほど、星晴ほしばれのしたそらしたくろ起伏きふくする屋根やねして、がるほのおました。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある時は、自分を凡俗ぼんぞくより高いものに自惚うぬぼれて見たり、ある時は取るに足らぬものといやしめてみたり、その間に起伏きふくする悲喜を生活として来た。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
丘陵に沿うてはひろ/″\した平野が或は高く或は低く、ゆるやかに起伏きふくして、單調な眺望にところ/″\畫興を催すに足るべき變化を示してゐる。
畦道 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
また一つは、別な目的をもって、錦霜軒きんそうけん起伏きふくしながら夜中何かの策動をやっているのであろうという想像。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうしてその高原のきるあたりから、また、他のいくつもの丘が私に直面しながらゆるやかに起伏きふくしていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
建物たてものの兩翼があり庭があり、ローウッドの森のすそがあつた、起伏きふくした地平線もあつた。私の眼はさま/″\なものを越えて、一番遠いまつ青な連峯の上に止まつた。
臺地だいちはたけ黄白くわうはくあひまじつて地勢ちせいまゝになだらかに起伏きふくして鬼怒川きぬがは土手どてちか向方むかうひくくこけてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それへ今度はもつと線の太い感情の曲線をゑがいたものがあらたに加はるやうになるかも知れない。勿論もちろんその感情の波を起伏きふくさせる段取りには大地震や火事を使ふのである。
土饅頭どまんじゅうぐらいな、なだらかなおか起伏きふくして、そのさきは広いたいらな野となり、みどり毛氈もうせんをひろげたような中に、森や林がくろてんおとしていて、日の光りにかがやいてる一筋ひとすじの大河が
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ただしろ荒寥こうりょうとした鉛色なまりいろひかこおり波濤はとう起伏きふくしていて昼夜ちゅうや区別くべつなく、春夏秋冬はるなつあきふゆなく、ひっきりなしに暴風ぼうふういている光景こうけいかぶのでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鼠色ねずみいろの丘がいくつもかさなり合って起伏きふくしている。それから空をするような林が、あちらこちらにも見える。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とりでは、夜はまったくかくされてあるので、このあたりの重畳ちょうじょうたる山の起伏きふくに、どれが目ざす小太郎山こたろうざんか、ちゅうまよいめぐっていた鞍馬くらまの竹童も、やっと、そのを聞きあてた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
電線でんせんはうなって、公園こうえん常磐木ときわぎや、落葉樹らくようじゅは、かぜにたわんで、くろあたまが、そらなみのごとく、起伏きふくしていました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地形ちけい起伏きふくがあり、多くは、れいのタンポポみたいなふしぎな木がむらがって樹海じゅかいをつくっている。その間に、ハチの巣のような家がてんてんと散らばっている。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)