“胡(こ)” の例文
しかし結局それは、胡(こ)に降(くだ)ったときの己(おのれ)の志が那辺(なへん)にあったかということ。その志を行なう前に故国の一族が戮(りく)せられて、もはや帰るに由なくなった事情とに尽きる。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
而(しこう)して又鄭は実に威を海外に示さんとし、胡(こ)は実に異を幽境に詢(と)えるや論無し。善(よ)く射る者は雁影(がんえい)を重ならしめて而して射、善(よ)く謀(はか)る者は機会を復ならしめて而して謀る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
廼(すなは)ち關其思(くわんきし)を戮(りく)して曰(いは)く、「胡(こ)は(一〇三)兄弟(けいてい)の國(くに)也(なり)、子(し)之(これ)を伐(う)てと言(い)ふは何(なん)ぞや」と。胡君(こくん)之(これ)を聞(き)いて、鄭(てい)を以(もつ)て己(おのれ)に親(した)しむと爲(な)して、鄭(てい)に備(そな)へず。鄭人(ていひと)胡(こ)を襲(おそ)うて之(これ)を取(と)れり。
洪州(こうしゅう)の北ざかいの大王埠(たいおうふ)に胡(こ)という家があった。
此(こ)の美女(びぢよ)、姓(せい)は胡(こ)で、名(な)はお好(かう)ちやんと云(い)ふ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
秀才は自分で胡(こ)という姓であると言った。
胡氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
胡(こ)甚だこれを畏る〉。
昔(むかし)鄭(てい)の武公(ぶこう)、胡(こ)を伐(う)たんと欲(ほつ)し、廼(すなは)ち(一〇二)其子(そのこ)を以(もつ)て之(これ)に妻(めあは)せたり。因(よ)つて羣臣(ぐんしん)に問(と)うて曰(いは)く、「吾(われ)、兵(へい)を用(もち)ひんと欲(ほつ)す、誰(たれ)か伐(う)つ可(べ)き者(もの)ぞ」と。關其思(くわんきし)曰(いは)く、「胡(こ)伐(う)つ可(べ)し」と。
それから己(おのれ)は草の上に仰向(あおむ)けにねころんで快い疲労感にウットリと見上げる碧落(へきらく)の潔(きよ)さ、高さ、広さ。ああ我もと天地間の一粒子(いちりゅうし)のみ、なんぞまた漢と胡(こ)とあらんやとふとそんな気のすることもある。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)