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れんそう
ふりがな文庫
“
聯想
(
れんそう
)” の例文
猿沢夫人は痩せぎすの、
敏捷
(
びんしょう
)
そうな身体つきの女性です。顔は美しいけれどもやや険があって、それは
牝豹
(
めひょう
)
か何かを
聯想
(
れんそう
)
させました。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
私がその第一印象に鬼の念仏を
聯想
(
れんそう
)
したというのも、つまりその雅懐から生ずる田中さんの持つ
微笑
(
ユウモア
)
が然らしめたのではあるまいか。
西隣塾記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
前の格堂の句は飯時分とあるところからほぼ台所の女中の事を想像し、この句の方は調度とあるところから中働を
聯想
(
れんそう
)
するのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかし民藝品はごく普通のもの、いわゆる上等でないものを指すため、ひいては粗末なもの、下等なものという
聯想
(
れんそう
)
を与えました。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
今でいえば科学普及という
類
(
たぐ
)
いであろうが、その先生の話をきいていると、何だか宇宙
開闢
(
かいびゃく
)
以前の夢の方が余計に
聯想
(
れんそう
)
されやすかった。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
読者諸君、諸君はこの話を読んで、ポオの「モルグ街の殺人」やドイルの「スペックルド・バンド」を
聯想
(
れんそう
)
されはしないだろうか。
D坂の殺人事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これも明るい近代的の俳句であり、万葉集あたりの歌を
聯想
(
れんそう
)
される。万葉の歌に「東の野に
陽炎
(
かげろう
)
の立つ見えて
顧
(
かえり
)
みすれば月傾きぬ」
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
橋の
袂
(
たもと
)
にある古風な銭湯の
暖簾
(
のれん
)
や、その隣の
八百屋
(
やおや
)
の店先に並んでいる
唐茄子
(
とうなす
)
などが、若い時の健三によく
広重
(
ひろしげ
)
の風景画を
聯想
(
れんそう
)
させた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
次第に
扮装
(
ふんそう
)
も
巧
(
うま
)
くなり、大胆にもなって、物好きな
聯想
(
れんそう
)
を
醸
(
かも
)
させる為めに、
匕首
(
あいくち
)
だの麻酔薬だのを、帯の間へ
挿
(
はさ
)
んでは外出した。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二つの言葉の
中
(
うち
)
、物質的な
聯想
(
れんそう
)
の附帯する言葉を己れへの場合に用い、精神的な聯想を起す言葉を他への場合に用いているのは
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
鞍馬
(
くらま
)
ときくさえ、すぐ、
天狗
(
てんぐ
)
というような怪奇が
聯想
(
れんそう
)
されるところへ、この話をきいた
小文治
(
こぶんじ
)
は、もっと深くその老人が知りたくなった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田辺の姉さんと言えば年中壁に寄せて敷いてあった床を、枕を、そこに身を横にしながら夫を助けて
采配
(
さいはい
)
を振って来た人を直ぐ
聯想
(
れんそう
)
させる。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
双六谷に就き、如何にも幽怪な魔所の
聯想
(
れんそう
)
を喚び起させるのは、
橘南谿
(
たちばななんけい
)
の『東遊記』の中にある「四五六谷」の一文である。
渓三題
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
牛小屋の方で、誰かが
頓狂
(
とんきょう
)
な喚きを発している、と、すぐその喚き声があの夜河原で号泣している断末魔の声を
聯想
(
れんそう
)
させた。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
明子は青年の姿を
藍
(
あい
)
色の層をした水に映して眺めたとき、鼻を鳴らして慕ひ寄る一匹の小犬を
聯想
(
れんそう
)
した。実際小犬のやうに青年は潔白だつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
モオルは
鼹鼠
(
もぐらもち
)
と云う英語だった。この
聯想
(
れんそう
)
も僕には愉快ではなかった。が、僕は二三秒の後、Mole を la mort に綴り直した。
歯車
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そりあ知らないといえば、僕だってなんにも知らないようなものだがね、ただまあひょいとそんな
聯想
(
れんそう
)
がうかんだんだ。」
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
即ち菫に相撲を取らせる場合に、一方を次郎、他の一方を太郎と呼んでいた名残で、『狂言記』の
八幡大名
(
はちまんだいみょう
)
などを
聯想
(
れんそう
)
せずにはいられません。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
余は井筒に
倚
(
よ
)
れる男女の図に対して
何
(
なん
)
の理由なく
直
(
ただち
)
にマアテルリンクの戯曲 Pelléas et Mélisande の
一齣
(
いっせき
)
を
聯想
(
れんそう
)
せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
家持の
聯想
(
れんそう
)
は、
環
(
わ
)
のように
繋
(
つなが
)
って、暫らくは馬の上から見る、街路も、人通りも、唯、物として通り過ぎるだけであった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
こんな話をしているうちに、
聯想
(
れんそう
)
は聯想を生んで、台湾の
樟脳
(
しょうのう
)
の話が始まる。
樺太
(
からふと
)
のテレベン油の話が始まるのである。
里芋の芽と不動の目
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
狐は
稲荷
(
いなり
)
の使わしめとなっているが、「使わしめ」というものはすべて
初
(
はじめ
)
は「
聯想
(
れんそう
)
」から生じた優美な感情の
寓奇
(
ぐうき
)
であって、鳩は
八幡
(
はちまん
)
の「はた」から
魔法修行者
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
話が一度どくだみの事になると、鶴見にはいつでも喚起される
聯想
(
れんそう
)
のひとつがある。石川啄木に関することである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
先ず主語表象があって、これより一定の方向において種々の
聯想
(
れんそう
)
を起し、選択の後その一に決定する場合もある。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
その時の京子の上気した頬と光る眼、真青な楓の葉ごと枝を握った真白な細い指が、今、加奈子の膝に置かれた京子の指の
聯想
(
れんそう
)
から、加奈子の眼に浮ぶ。
春:――二つの連作――
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「むかしから、そのもとのひとがらはなにかを
聯想
(
れんそう
)
させると思っていたが、ようやく思い当った」「…………」
青竹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
同じような日ばかりの続きます退屈さからよく昔のことを思い出してみるのでございますが、それによってあなた様を
聯想
(
れんそう
)
することもたくさんございます。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
随
(
したが
)
って飛騨と云えば
直
(
ただち
)
に山を
聯想
(
れんそう
)
するまでに、一国到る処に山を見ざるは無い。この物語の中心となっている町も村も、殆ど三方は
剣
(
つるぎ
)
の如き山々に
囲
(
かこま
)
れていた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
坂の上の雪と風とに押しひしがれてそいだような形になっている松の木はあのローマの傘松を
聯想
(
れんそう
)
させ
(私はさきごろ)
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
そしてその間に頭脳に浮んで来る考は総て断片的で、猛烈で、急激で、絶望的の分子が多い。ふとどういう
聯想
(
れんそう
)
か、ハウプトマンの「
寂
(
さび
)
しき人々」を思い出した。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
去年と同じ場所という葉書はふといやな
聯想
(
れんそう
)
をさそい、競馬場からの帰り昂奮を新たにするために行ったのは、あの蹴上の旅館だろうかと、寺田は真蒼になった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
お島は今着ているものの
聯想
(
れんそう
)
から鶴さんの肉体のことを言出しなどして、小野田を
気拙
(
きまず
)
がらせていた。男の体に反抗する女の手が、小野田の
火照
(
ほて
)
った
頬
(
ほお
)
に落ちた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ネーブルは食べにくいことを除けば好きな果物のひとつだが果汁には色にも味にも妙にどぎついところがあり、どこか銀座娘を
聯想
(
れんそう
)
させる。葡萄もはじめての見参だ。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
椿岳が浅草に
住
(
すま
)
っていたは維新後から十二、三年頃までであった。この時代が最も椿岳の奇才を発揮して奇名を売った時で、椿岳と浅草とは離れぬ縁の
聯想
(
れんそう
)
となった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
だから私も作ってみようと眼をつぶって、
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
と
烏
(
からす
)
と云う詩をつくってみる。眼をつぶっていると、黒いものからぱっぱっと
聯想
(
れんそう
)
がとぶ。おかしなことばかり考える。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「相見ては千歳や
去
(
い
)
ぬる
否
(
いな
)
をかも我や
然
(
しか
)
念ふ君待ちがてに」(巻十一・二五三九)の「否をかも」と同じである。
古樸
(
こぼく
)
な民謡風のもので、二つの
聯想
(
れんそう
)
も
寧
(
むし
)
ろ原始的である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私どももあの地方にはたくさんの面白い
聯想
(
れんそう
)
を持っていますよ。そらワトソン君、俺たちがあの文書偽造犯人の、アーチェ・スタンフォードを捕えたのは、あの近所だったよ。
自転車嬢の危難
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
世間では彼等の職業では女体に慣れ切って何等の感じも受けないが、妊婦を見れば
聯想
(
れんそう
)
に
依
(
よ
)
って
僅
(
わず
)
かに男性らしい慾望を覚えるとも云った。が、彼はそれすらも感じないのだ。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
しかし、その小僧の眼つきにも、妙に魚の眼を
聯想
(
れんそう
)
させるところがありましたから、或いは、本当にヒラメのかくし子、……でも、それならば、二人は実に淋しい親子でした。
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
犬——と、それは直ちに人家を
聯想
(
れんそう
)
させる。彼は穴から
匐
(
は
)
いだして薄明のなかに立った。耳を澄した。幻覚であったか、そう思いかえしたとき、うおーん、たしかに前方に聞えた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
直ちに吉良上野を
聯想
(
れんそう
)
するのが、「忠臣蔵」によって煽られた民間常識とされているが、上野介の精神分析を試みて、彼が江戸城においては暴虐にして冷酷
無慚
(
むざん
)
な所行を繰返しながら
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
それこれの
聯想
(
れんそう
)
から、誰とも知らず、その頃の蝶吉を、母の
俤
(
おもかげ
)
に
肖
(
に
)
たように思ってた折から、煎餅屋の店で行違った時も、母があたかもその
年紀
(
とし
)
で、その頃、同じことを、ここでして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ覚えているのは、稲田家の門が寺の門のように大きく、扉には大きな
鋲飾
(
びょうかざ
)
りなどが打ってあり、通された表座敷の
襖
(
ふすま
)
には大字の書が張ってあって、芝居の舞台が
聯想
(
れんそう
)
されたことである。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
かれがそういう界隈の家家の二階や下座敷の
灯
(
とも
)
れているのを眺めて居れば、かれ自身も何かしらそれらのものから、むずがゆい
聯想
(
れんそう
)
と、れいの時時おこる肉声のなまめかしい声音によって
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
年とった
牝猫
(
めねこ
)
と若い牝猫との喧嘩の場面を磯五に
聯想
(
れんそう
)
させて、真ん中にすわっている磯五が、困りながら、内心面白くてくすくす笑って、けしかけるようなこころもちで見物しているとき
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして
若
(
も
)
しありとすれば、それは一種抽象的な、浄化された気分の醸製に過ぎなからう。
却
(
かへ
)
つてさう云ふ感じを起すのは、踊らない、踊りを知らないで見てゐる、第三者の
閑
(
ひま
)
な
聯想
(
れんそう
)
のやうである。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
君が往々用いる黄と青の配合までもまた後者を
聯想
(
れんそう
)
せしめる事がある。
津田青楓君の画と南画の芸術的価値
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
強いて頭を空虚に、眼を閉じてもなかなか眠れない、地に響くような波の音が、物を考えまいとするだけ
猶
(
なお
)
強く聞える。音から
聯想
(
れんそう
)
して白い波、
蒼
(
あお
)
い波を思い浮べると、もう番神堂が目に浮んでくる。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
世間では「呪」というと、ただちに迷信を
聯想
(
れんそう
)
するほど、とかく敬遠されている
語
(
ことば
)
です。けれどもこれが一たび仏教の専門語として、用いられる時には、きわめて深遠な尊い意味をもってくるのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
したがってこのことは美に対していつも
聯想
(
れんそう
)
される富貴とか贅沢とか高価とかの概念を根本的に修正する原理を与えるでしょう。
民芸とは何か
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
“聯想”の意味
《名詞》
聯想(れんそう 「連想」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
連想の別表記。
(出典:Wiktionary)
聯
漢検準1級
部首:⽿
17画
想
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“聯想”で始まる語句
聯想性
聯想的