“羅(ら)” の例文
輪(りん)をとるもの、槊(さく)を執るもの、索(さく)を執るもの、羅(ら)を握るもの、棒を揮(ふる)うもの、刀を構えるもの、印を結ぶもの、三十六臂三十六般の形を成している。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鼠色の服を着け候(さふら)て、帽は黒の羅(ら)を覆(おほ)へるをして甲板(かんぱん)に立ち候(さふらふ)に、私を不思議相(さう)に覗(のぞ)き行(ゆ)かぬはなく、恥(はづか)しく候(さふら)ひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
ここと都との通信機関は、早馬の往復だけが、唯一無二(ゆいいつむに)のものである。だから時局の波瀾(はらん)をみると、海道から府内は、昼夜、ひっきりなしに六波(は)羅(ら)飛脚(びきゃく)だ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拍(う)ち其の人體(にんてい)で考へれば醫師と云るは町内の元益坊主(ばうず)に極(きはま)つたりと云は面體(めんてい)のみならず黒(くろ)羽二重に桔梗の紋は掛替(かけがへ)のなき一丁羅(ら)渠奴(きやつ)小西屋の店(みせ)へ行き隣の女に惡名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
畳翠(でふすゐ)滋蔓(じまん)繁茂せる、竹と竹との隙間を行くは、篠突(しのつ)く雨の間を潜(くゞ)りて濡れまじとするの難(かた)きに肖(に)たり。進退頗(すこぶ)る困難なるに、払ふ物無き蜘蛛(くも)の巣は、前途を羅(ら)して煙の如(ごと)し。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
亡兄うちゑみつゝ足下(そこ)は今天竺浪人(てんぢくらうにん)なり、ぶらりと江戸へきたりて売創(うりはじむ)る物ゆゑに天ふらなり、是(これ)に麩羅(ふら)といふ字を下(くだ)したるは麩(ふ)は小麦の粉にてつくる、羅(ら)はうすものとよむ字なり。
今日(けふ)ならではの花盛(はなざか)りに、上野(うへの)をはじめ墨田川(すみだがは)へかけて夫婦(ふうふ)づれを樂(たの)しみ、隨分(ずいぶん)とも有(あ)る限(かぎ)りの体裁(ていさい)をつくりて、取(と)つて置(お)きの一てう羅(ら)も良人(おつと)は黒紬(くろつむぎ)の紋(もん)つき羽織(ばをり)、女房(にようぼう)は唯(たゞ)一筋(すぢ)の博多(はかた)の帶(おび)しめて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いとかすけく曳くは誰(た)が子の羅(ら)の裾ぞ杜鵑(とけん)まつなるうすくらがりに
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
高き屋に登る月夜の肌寒み髪の上より羅(ら)をさらに著ぬ
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
白鳥(はくてう)の歌ふが如く過ぎゆきぬ、すべる羅(ら)の裾。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
羅(ら)の裾の『春』の跡追ふ
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
亡兄うちゑみつゝ足下(そこ)は今天竺浪人(てんぢくらうにん)なり、ぶらりと江戸へきたりて売創(うりはじむ)る物ゆゑに天ふらなり、是(これ)に麩羅(ふら)といふ字を下(くだ)したるは麩(ふ)は小麦の粉にてつくる、羅(ら)はうすものとよむ字なり。
また、羅(ら)のころも、緑髪(みどりがみ)、わかき瞳に炎上(えんじやう)の
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)