細々こま/″\)” の例文
細々こま/″\しい臺所だいどころ道具だうぐやうなものはまでもあるまい、ふるいのでければとふので、小人數こにんず必要ひつえうだけ一通ひととほそろえておくつてた。其上そのうへ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
店の方に出て來ると、八五郎を物蔭に呼び出して、何やら細々こま/″\と言ひふくめ、そのまゝ明神下の家へ引揚げてしまつたのです。
この上願書は半紙に凡そ二十二枚、いと細々こま/″\と認めたもので、彼の精力と記憶力の旺盛な事と、底の知れない執拗さとを歴然として示している。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
土耳其トルコであつた話である。あすこの或る信心深い富豪かねもちが大病にかゝつて死にかけたので、一人息子を枕もとに呼んで、遺産の始末を細々こま/″\と話した。
文面を読むたびにびっくりばかりいたしましたが、親切に細々こま/″\書いてあるから伊之吉もその通りにいたし、身請の当夜を待ち、指図のごとく一艘の小舟を借りまして
付ず取調て御見分ごけんぶんの御役人へ御わたし申すべしと細々こま/″\御遺言ごゆゐごん有て終にむなしく成給ひし然ば泣々おほせの如く取計ひ御石碑せきひをも建立こんりふして御後の取まかなひ萬事すませ後下人共へは御紀念かたみ金を分與へて暇を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『委細承知した。お前の信ずる女とお前が結婚することに己は少しも異論は無い。若しそれが爲めに金が入用なら少々は送る。心配せずに言つてよこせ』と細々こま/″\と親切に書いてあつて、終りの方に
以上いじやう……滋養じやう灌腸くわんちやうなぞは、絶対ぜつたいきらひますから、湯水ゆみづとほらないくらゐですのに、意識いしき明瞭めいれうで、今朝こんてう午前ごぜんいき引取ひきとりました一寸前ちよつとぜんにも、種々しゆ/″\細々こま/″\と、わたしひざかほをのせてはなしをしまして。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その鈴を二つに割ると中には細々こま/″\と何やら書いてありましたが、平次は素よりそんなものを讀まうともしなかつたのです。
彼女は通りから横丁に這入り、左に折れ、右に曲って細々こま/″\した家が立並んで、時に埃の一杯散かっている空地のある新開地らしい路を縫って行く。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
あとにお村は硯箱すゞりばこを引寄せまして、筆を取り上げ、細々こま/″\と文をしたゝめ、旦那を取らなければ母が私を女郎じょろうにしてしまうと云うから、仕方なしに私は吾妻橋から身を投げて死にますから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
公園は奈良式が一番いやうだ。近頃ちよい/\公園に銅像などを建てるが、あんな人工的なものを細々こま/″\ならべるよりも、いろんな樹木を植ゑて森林の感じでも出すやうに心掛けたいものだ。
細々こま/″\とからくりがなく洒張さつぱりして一層いつそうい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あづか渡世とせい寸暇すんかなければ中々田舍ゐなかへ尋ね行事などは思ひもよらず心にかゝる計りにて今迄疎遠そゑん打過うちすごしたり夫に付ても此間の手紙に細々こま/″\と言越たるには追々おひ/\不時ふじの災難や水難旱損かんそんの打續きて思はぬ入費ものいりの有しゆゑ親のゆづりの身上も都合つがふしくなりし由じつに當時の世の中は田舍も江戸もつまがちしか呉々くれ/″\返事へんじ言遣いひつかはしたる通り親は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なまけ者で小ばくちうちで、お園もお組も相手にしないのを怨み、お園を殺して、その疑ひをお組に着せるつもりで、細々こま/″\と仕組んだに違ひあるまい
彼は早くも古我判事の狼狽の色を見て取ったと見えて、機乗ずべしとなし、獄中より上願書と題して半紙二枚に細々こま/″\と認めたものを差出して古我判事を動かそうとした。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
母や妹を寝かしたあとで、細々こま/″\したゝめました遺書かきおき二通、一本はお蘭のもとへ、一本は母へ宛て、封目ふうじめを固く致した山三郎、其の翌晩小原山と申す山の原中に出まして粥河圖書と決闘はたしあいを致しまするお話
「知らない人。——手紙で細々こま/″\と指圖をして來ました。そつと兵三郎さんに相談すると、仕方があるまいと言ふし」
お照は懐妊と気が付きましたから何うしたらかろう、何うかお目にかゝり相談をたいと、山平へ細々こま/″\と手紙をしたゝめ、今日あたりきんが来たらきんに持たせてやろうと帯の間へはさんで居りましたが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一方は五尺ばかりの生垣いけがき、一方は黒板塀を前にした下水で、ドブ板の上は、血汐を洗つて、一昨夜そのよの跡もありませんが、源吉に死骸の位置を、細々こま/″\と説明させた上
平次は八五郎に細々こま/″\と言ひ付けて、それから今朝死骸を見付けたといふ、番頭の有八を呼びました。
それから朝田屋の困るのにつけ込んで、うんと恩をきせたが、母親が頑張つてお縫と一緒にしてくれさうもないので、豫々かね/″\細々こま/″\たくらんだ筋書き通り殺したのだらう。
四疊半は窓際半分ほど凄まじく血によごれてをりますが、それを除けば、若い娘の部屋らしく、小綺麗に整頓されて、箪笥たんすも鏡臺も、その側に据ゑた小机も、細々こま/″\した身の廻りの品にも
慇懃いんぎんに迎へ入れた平次に、吉住求馬は、事件の顛末てんまつ細々こま/″\と物語りました。
娘らしく小布こぎれの箱と物の本二三册と、手習ひ草紙と、古い歌留多かるたと、それに可愛らしいもの細々こま/″\したものが少しばかりあるだけ、貧しさにてつしてろくな紅白粉も、髮の飾りもない痛々しい有樣です。
そして、その上には、一つの手箱が添へてあり、その中には、殺された内儀お駒の筆跡で、松前屋三郎兵衞を殺した下手人——平松源左衞門の罪状を細々こま/″\と認めてあつたのは何んといふ皮肉でせう。
銭形平次捕物控:282 密室 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
孫三郎はこんな事を細々こま/″\と説明し乍ら、平次を母屋にみちびくのです。
平次は今までの經緯いきさつ細々こま/″\と説明したのです。
番太の吉六は細々こま/″\と説明するのでした。
吉三郎毒死の顛末てんまつ細々こま/″\と訊くと