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竪
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た
ふりがな文庫
“
竪
(
た
)” の例文
婆あさんが最後に蓋を切つて味を見て、それから杓子を
令
(
れい
)
の杖のやうに
竪
(
た
)
てて、「さあ、皆お掛、御馳走が始まるよ」といつた。
聖ニコラウスの夜
(新字旧仮名)
/
カミーユ・ルモンニエー
(著)
此処からシデや令法(方言、牛の糞)や
槭
(
かえで
)
などの茂った山の横を
搦
(
から
)
みながら少し行くと、雨樋を
竪
(
た
)
てたような潜り戸の狭間が待ち構えていた。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
剣を取る時は
平青眼
(
ひらせいがん
)
にじっとつけて、相手の眼をみつめながらジリリと進む、それに対するといかなる
猛者
(
もさ
)
も身の毛が
竪
(
た
)
ったそうであります。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
われは毛髮
倒
(
さかしま
)
に
竪
(
た
)
ちて、卓と柩との皆
獨樂
(
こま
)
の如く旋轉するを覺え、身邊忽ち
常闇
(
とこやみ
)
となりて、頭の内には只だ
奇
(
く
)
しく
妙
(
たへ
)
なる音樂の響きを聞きつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
尻に毛なくして尾短し、手足人のごとくにて能く
竪
(
た
)
って行く、その声
嗝々
(
かくかく
)
(日本のキャッキャッ)として
咳
(
せき
)
するごとし。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
風は
※々
(
しゅうしゅう
)
と
両腋
(
りょうえき
)
に起こりて毛髪
竪
(
た
)
ち、道はさながら
河
(
かわ
)
のごとく、濁流脚下に
奔注
(
ほんちゅう
)
して、身はこれ虚空を
転
(
まろ
)
ぶに似たり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姫の行くてには常に、二つの峰の並んだ山の立ち姿がはっきりと
聳
(
そび
)
えて居た。
毛孔
(
けあな
)
の
竪
(
た
)
つような
畏
(
おそろ
)
しい声を、度々聞いた。ある時は、鳥の音であった。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
「気張るぞ」と今一人の船頭が言って、左の
臂
(
ひじ
)
をつと伸べて、一度拳を開いて見せ、ついで
示指
(
ひとさしゆび
)
を
竪
(
た
)
てて見せた。この男は佐渡の二郎で六貫文につけたのである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
数歩
(
すほ
)
を行けば、宮が命を沈めしその
淵
(
ふち
)
と見るべき処も、彼が
釈
(
と
)
けたる帯を
曳
(
ひ
)
きしその
巌
(
いはほ
)
も、歴然として皆在らざるは無し! 貫一が
髪毛
(
かみのけ
)
は
針
(
はり
)
の如く
竪
(
た
)
ちて
戦
(
そよ
)
げり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
忽然兄きは頭を
掉
(
ふ
)
つて、死人のやうな顔色になりました。そして右の手の
示指
(
ひとさしゆび
)
を
竪
(
た
)
てゝわたくしに見せるのです。それが『気を付けろ』といふのだらうとわたくしには思はれたのでございます。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
夫人は
示指
(
ひとさしゆび
)
を
竪
(
た
)
てゝ、
笑
(
ゑ
)
みつゝ我顏を打守り、油斷のならぬ事かな、さるいちはやき
風流
(
みやび
)
をし給ふにこそ、否々、面をあかめ給ふことかは、君の
齡
(
よはひ
)
にては
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
倶胝
(
ぐてい
)
和尚は指を
竪
(
た
)
て、
趙州
(
じょうしゅう
)
和尚は
柏
(
かしわ
)
の樹を指さしたということだから、慢心和尚がああして幽霊のような手つきをして、自分の円い頭を辷らしているところに
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
虎答えていわく、汝毛
竪
(
た
)
ちて
森々
(
しんしん
)
たり、諸畜中下極たり、猪汝速やかに去るべし、糞臭堪ゆべからずと。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
フランツは麻のようなブロンドな髪が一本一本逆に
竪
(
た
)
つような心持がして、何を見るともなしに、身の
周匝
(
まわり
)
を見廻した。目に触れる程のものに、何の変った事もない。
木精
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
若者血
凝
(
かたま
)
り毛
竪
(
た
)
つまで怖ろしかったが、思い切って蛇群中に割り込むと、蛇ども怒り
嘯
(
うそぶ
)
き、口を開いて咬まんとすれど、身々密に
相
(
あい
)
纏
(
まと
)
うて動作自在ならず、かれこれ暇取る内に
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
アヌンチヤタこの活劇を眺めたるが、
遽
(
にはか
)
に我に向ひていふやう。かの大穹窿の上なる十字架に火皿を結び付くる役こそおそろしけれ。おもひ遣るに身の毛いよ
竪
(
た
)
つ心地す。われ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
先手
(
さきて
)
は両藩の下役人数人で、次に兵卒数人が続く。次は細川藩の留守居馬場彦右衛門、同藩の隊長山川亀太郎、浅野藩の重役渡辺
競
(
きそう
)
の三人である。陣笠
小袴
(
こばかま
)
で馬に
跨
(
またが
)
り、
持鑓
(
もちやり
)
を
竪
(
た
)
てさせている。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
餌を
瞰
(
ねら
)
いまた笛声を聴く時、それを拡げると喉が
団扇
(
うちわ
)
のように
脹
(
ふく
)
れ、
惣身
(
そうみ
)
の三分一を
竪
(
た
)
てて
嘯
(
うそぶ
)
く、その状極めて畏敬すべきところからインド人古来これを神とし、今も卑民のほかこれを殺さず。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
山内家の紋を染めた幕を引き廻した中に、四本の
竹竿
(
たけざお
)
を
竪
(
た
)
てて、上に
苫
(
とま
)
が
葺
(
ふ
)
いてある。地面には
荒筵
(
あらむしろ
)
二枚の上に、新しい畳二枚を裏がえしに敷き、それを白木綿で
覆
(
おお
)
い、更に
毛氈
(
もうせん
)
一枚を
襲
(
かさ
)
ねてある。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
何の意か怖れて走る〉と呼ばわると、虎答えて曰く〈汝毛
竪
(
た
)
ちて森々たり、諸畜中に下極まる、猪汝速やかに去るべし、糞臭堪うべからず〉、猪自ら誇りて曰う〈摩竭鴦二国、我汝と共に闘うと聞く
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
竪
漢検準1級
部首:⽴
13画
“竪”を含む語句
竪琴
竪町
竪薦
竪立
竪縞
竪川
竪坑
竪帷
竪帳
竪穴
弥竪
逆竪
竪皺
竪横
竪矢
竪大工町
竪板
竪御号
竪御
竪絽
...