神経しんけい)” の例文
は、とりをいちばんおそれていたのです。それは、代々だいだいからの神経しんけいつたわっている本能的ほんのうてきのおそれのようにもおもわれました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
はりがふれてもピリッと感じるであろう柄手つかで神経しんけいに、なにか、ソロリとさわったものがあったので竹童は、まさしく相手の得物えものと直覚し
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その声はもの考えする人の神経しんけいをなやましそうな声であった。ほうきめのついてる根元ねもと砂地すなちに、ややばんだせんだんのみだしてある。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
負けたくない負けたくないといういらいらした気分が頭にせりあがるために、かれの神経しんけいはつりあいを失いねらいを正確に定めることができなかった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
はやかへらうとしたけれどおもくなつて其癖そのくせ神経しんけいするどくなつて、それでてひとりでにあくびがた。あれ!
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
銘めい刀を引きつけて、悲壮なるおももちは、まるで出陣の宴だ。これが毎晩のことだから、さぞ神経しんけいが疲れたことだろうが、そのうちに、頼んであった助軍じょぐんが到着する。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
わたしっているのは、かみひと熱血ねっけつと、神経しんけいとよりつくったとうことだけです! また有機的組織ゆうきてきそしきは、もしそれが生活力せいかつりょくをもっているとすれば、すべての刺戟しげき反応はんのうおこすべきものである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
銀価ぎんか下落げらく心配しんぱいする苦労性くらうしやう月給げつきふ減額げんがく神経しんけい先生せんせいもしくは身躰からだにもてあますしよくもたれのぶた無暗むやみくびりたがる張子はりことらきたつて此説法せつぱう聴聞ちやうもんし而してのち文学者ぶんがくしやとなれ。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
東京へいって、入院をして、目と神経しんけいとをなおすことになったのだ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
神経しんけい知覚ちかくとはいたましきほどわななけども、ちからなきほねなしよ。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
神経しんけいぢやない本当だよ。まつたくにいさんの所為せゐだ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さなきだに、めくらになってからは、神経しんけいのとがり立っている鞍馬くらまの竹童、こういって、からだをねじむけてきたのである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お政はずいぶん神経しんけい過敏かびん感情的かんじょうてきな女であるけれど、またそうとうに意志いしの力を持っている。たいていのことはむねのうちに処理しょりして外に圭角けいかくをあらわさない美質びしつを持っている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その医者いしゃは、音楽おんがく神経しんけい関係かんけいをば、かなりふか心得こころえていたからでありましょう。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
神経しんけい衰弱つかれにぞ絶間たえまなく電車過ぎゆき
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
また神経しんけいだ」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
じょうさんは、音楽おんがくきでしたから、こんなときに、バイオリンか、こといてみたいとおもいましたが、医者いしゃは、かえって、神経しんけい興奮こうふんさせてよくないだろうといって、ゆるさなかったのです。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
だが、かれの行動は、だれより勇敢ゆうかんといえるだろうか。それは問題としても、蛾次郎が来たままかけぬけていったのは、錯覚さっかくなどをおこすほどこまかな神経しんけいを持ちあわせていない証拠しょうこにはなる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
濃霧のうむはそそぐ……そこここに虫の神経しんけい
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鶯はなほも啼く……瓦斯ガス神経しんけい
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一列ひとつらね、血しほしたたる神経しんけい
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
赤き神経しんけい……めしひし血……
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)