無殘むざん)” の例文
新字:無残
役人共は突退々々つきのけ/\富右衞門を引立つゝ問屋場へと連れ來り宿駕籠しゆくかごのせて江戸馬喰町四丁目の郡代ぐんだい屋敷やしきへ引れしは無殘むざんなることどもなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
猛狒ゴリラるいこのあな周圍しうゐきばならし、つめみがいてるのだから、一寸ちよつとでも鐵檻車てつおりくるまそとたら最後さいごたゞちに無殘むざんげてしまうのだ。
無殘むざんにもかへる夫婦ふうふころしてくものだから、そのかずほとんど勘定かんぢやうれないほどおほくなるのださうである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
無殘むざん爆彈ばくだん血染ちぞめられたとふその最後さいごいたましくもかんじられはしないだらうか?
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
めぐしくも、こぼちたるこそ無殘むざんなれ。
泣けよ恋人 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
引拔ひきぬき無殘むざんにも娘を刺殺さしころせども猶立石は前後も知らず醉臥ゑひふしたるを直助は直樣すぐさまうへまたが咽喉のどもと突貫つきとほし一ゑぐりに殺してまた箪笥たんすの方へゆかんとせしに女房はそつと續いて來るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ズボンは滅茶苦茶めちやくちや引裂ひきさかれ、片足かたあしくつ無殘むざん噛取かみとられて、いのちから/″\車中しやちうまろんだ。
氣絶きぜつするほど甲板かんぱんうへ投倒なげたふされて、折角せつかくたかまつたわたくしはな無殘むざん拗折へしをられてしまつた。
頼みける然ば無殘むざんなるかな水呑村の九助はかね覺悟かくごとは言ながら我が罪ならぬ無實の災難さいなん今更うらんで甲斐かひなしと雨なす涙に面をひたし首うなたれて面目なげに目をとぢ口には稱名しようみやうとな未來みらい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)