ころし)” の例文
うむ、おれを。お貞、ずるい根性を出さないで、表向おもてむきに吾を殺して、公然、良人殺しの罪人になるのだ。お貞、良人ころしの罪人になるのだ。うむお貞。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
年頃としごろ廿一二の女惣身そうしん打疵うちきずおほくしてころし候樣子に相見申候尤も衣類いるゐ紬縞小袖つむぎじまこそで二枚を着し黒純子くろどんすりう模樣もやう織出おりだしの丸おびしめ面部めんぶまゆひだりの方にふるきずあと相見あひみえ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
感じて思はず落涙らくるゐ仕り如何にも彦兵衞には有之これあるまじ外に人殺ありと申たるに相違さうゐ御座なく候と申ければ大岡殿聞給ひさらば馬喰町米屋市郎左衞門伯母をばころし金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たといここで、目の前で、やあい、だましてやった、二本棒め、ころしを言やあ嬉しがって、色男が聞いて呆れる、ざまあ見やがれと、愛想尽あいそづかしを言って舌を出した処で、ちっともはらを立てはしない。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うばひし段注進ちうしんの者有て召捕なり申わけあらば役所に於て一々申すべしといふに富右衞門は彌々いよ/\仰天ぎやうてんし其は何共合點がてんの行ざることなり私しは元來ぐわんらい殺生せつしやうさへもきらひで虫一つころした事もきに人殺しなどとは思ひもよらず殊に平生兄弟同樣にいたす所の平兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)