松魚かつお)” の例文
松魚かつおにしてもこんな生きのいい生き身はありゃしねえやい! 生かしてえせと言うんじゃねえんだ。のめすならのめす、斬るなら斬ってみろい!
... 今の問題に魚の事もあったが白い肉の魚とあかい肉の魚との区別は何だろう」中川「紅い肉の魚とはさけとかますとかさばとかまぐろとか松魚かつおとかいうものだ。 ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
大物のこいをやる人は、その執拗な、稀な、強さと電力が、絶世の張りある美人に思へようし、ぶり松魚かつおへまで望みを延ばし、或は外国流なかわり種を捜して
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
……魚のほうでは、立花屋の『あじ売』『松魚かつお売』てえのがあるが、小鰭の鮨売というのはまだ聞かない。ところで、立札には、ちゃんと所作事としてあった。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
松魚かつおの刺身のつまに生のにんにくをかりかりじっているのを見て驚歎した自分は、自宅や親類の人達がどうしてにんにくを喰わないかと思って母に聞いたら
重兵衛さんの一家 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
とうとい処女を自然薯じねんじょ扱い。蓼酢たです松魚かつおだ、身が買えなけりゃ塩でんで蓼だけかじれ、と悪い虫めら。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勘「はい/\有難ありがてえ/\、それを聞けばすぐに死んでもい、ヤア、有難えねえ、サア死にましょうか、唯死度しにたくもねえが、松魚かつおの刺身であったけえ炊立たきたてまんまべてえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
四国なまりじゃったら舟の中に、一こりや二こり爆薬ハッパは請合います。松魚かつおの荷に作ってあるかも知れませんが、あの乾物屋さんに宛てた送り状なら税関でも大ビラでしょう。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
十一時半頃午餐ごさんを喰ふ。松魚かつおのさしみうまからず、半人前をくふ。牛肉のタタキの生肉少しくふ、これもうまからず。歯痛は常にも起らねど物を噛めば痛み出すなり。かゆ二杯。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これは毎夜の事でその日漁した松魚かつおいてあぶるのであるが、浜の闇を破って舞上がる焔の色は美しく、そのまわりに動く赤裸の人影を鮮やかに浮上がらせている。
(新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「友さんはらわたをおいてきねえ。」婆さんの方でない、安達ヶ原の納戸でないから、はらごもりをくのでない。松魚かつおだ、鯛だ。烏賊いかでも構わぬ。生麦なまむぎあじ、佳品である。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
逗子沖のソーダ松魚かつおといふやうなものになると、一日何貫と釣れることもあるから、力の強い、剛快な人はやるのもよいが、真に竿で釣りを愉しむ者にはどうかと思はれるのである。
夏と魚 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
我々に大きな国家の料理が出来んとならば、この水産学校へ這入はいつて松魚かつおを切つたり、烏賊いかを乾したり網を結んだりして斯様かような校長の下に教育せられたら楽しい事であらう。(五月五日)
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
魚類のはらわたなんぞは大概刺撃性の強いものですからアラ酒といって甘鯛のアラへお酒をかけて飲むと早く酔いますし、松魚かつお塩辛しおからの事は酒盗しゅとうという位ですし、海鼠腸このわた海胆うにも酒を酔わせます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「きょうも松魚かつおれたのう」と羅宇屋が話しかける。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
松魚かつお 七二・七三 二五・〇六 一・二一 一・〇〇
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
松魚かつお刺身さしみ 夏 第百三十八 松魚かつお料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
松魚かつおたたき 夏 第百三十八 松魚かつお料理
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)