さい)” の例文
まだかほは見えぬけれど着物の色さいで少女と知れる姿すがたが現はれると、自分のあい人ではないかと思つて見たりするのである。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
引つ切りなしに揚がる花火、五さいの火花が水を染めて、『玉屋ア、鍵屋ア』といふお定まりの褒め言葉が、川づらを壓し、橋を搖るがして、何時果つべしとも思はれません。
こまどりのうたをうたった、あのいい音色ねいろみみこえるような、また、ふえや、太鼓たいこや、しょう音色ねいろなどが、五さいうつくしい夕雲ゆうぐもなかからわいて、うみうえまでこえてくるような
紅すずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
さいさゞなみ鴛鴦おしどりうかべ、おきいはほ羽音はおととゝもにはなち、千じん断崖がけとばりは、藍瓶あゐがめふちまつて、くろ蠑螈ゐもりたけ大蛇おろちごときをしづめてくらい。数々かず/\深秘しんぴと、凄麗せいれいと、荘厳さうごんとをおもはれよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
無数の紅い龍舌旗りゅうぜつきを帆ばしらにひるがえし、船楼せんろうは五さいに塗ってあった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いろ三つをかさねて、ひた/\とうつつて、あゐうかべ、みどりひそめ、くれなゐかして、なみや、かへかぜに、紅紫こうしりんはなたちまき、藍碧万顆らんぺきばんくわほしたちまひらいて、さつながるゝ七さいにじすゑ湖心こしんもつとふかところ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)