かて)” の例文
読本リーダーに出て来るような初心うぶな娘ッ子だ。きっと物にして見せるよ。俺の歯にかかったらどんなにかて胡桃くるみだって一噛みだ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
こゝなうちではハアかとうごぜえやすから、どんな馴染のお客でも泊めましねえから三味線さみせんや芸はいりやしねえよ、わしどもはかてうちでなくっちゃア勤まりましねえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が悪うてとてもはや冗談は云えませんなうして中々ちま/\としてえて、かてえ気性でござえますから、冗談は云えましねえよ、旦那様がお留主るすの時などは
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
前様めえさま後添のちぞえにしべえと、分家の旦那様とわしが勧めたけれども、旦那様はかてえから、あんまり歳が違うから村の者へ外聞が悪いというのを、多助さんには叔母さんの事だから
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼様あんなはアかてえ義理を立てる人はねえ、此の前彌次郎やじろううちとり喜八きはちめたっけ、あの時おふくろが義理が立たねえって其の通りの鶏を買ってねえばなんねえと、幾ら探しても
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ハイ遅くならばきに寝てもいゝだけれど、まア此の頃はほかへ出ると泊って来る事もあり、今迄旦那様が達者の時分にはお前がうちを明けた事はねえ、あんなかてえ若旦那様はねえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そりゃア何うも先生のめえでげすが、アヽやってお嬢さんもぶらぶら塩梅あんべえが悪くッておいでなさるし、何うかお気の紛れるようにと思って、わっし身許みもとから知ってるかてえ芸人でげすから
此方こちらは遅れて渋川まで私の車で往って、渋川で車を一挺雇って貴方が乗って追っかけりゃアじきで、一日でかれます、届けものがあれば当家こちらへ言付けて置けばかてうちで屹度届けます
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おれだって実の子だか嘘の子だか知ってるが、かていから槍で突殺すと云いやんしたから、是から槍で突殺された気になり、死身しにみになって奉公しやすんから、どうぞ心配しんぺいしねえで下せい
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
だがねかて子息むすこさんでございますが、此の頃足を近くなかへどん/\と花魁おいらんを買いに往っても、若旦那が惚れて何うのうのと云う方ではない、たゞうかれにきなさるが、ほんの保養で
わし定命じょうみょうより余程よっぽど生き延びて居りますから、もう死んでも惜しくねえ身体ですが、たった一人の忰がマアかてえもんでごぜえまして、万年町のおたなへ奉公に遣って、永く勤めて居りますが
村の者も今迄はかてえ人だったが、う言う訳だがな泊り歩くが、役柄もしながらハアよくねえこッたア年老としとった親を置いて、なんて悪口わるくちく者もあるで、なるだけ他人ひとには能く云わしたいが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何処どこかで一緒になったで口でもきゝ合った訳だんべえ、それでまア娘が気に、ア云う人を何卒どうか亭主ていしたいとか内儀かみさんになりてえとか云う訳で、心に思ってもあにさまがかてえから八釜やかましい事云うので
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)