凝結ぎょうけつ)” の例文
一時ひとしきり魔鳥まちょうつばさかけりし黒雲は全く凝結ぎょうけつして、一髪いっぱつを動かすべき風だにあらず、気圧は低落して、呼吸の自由をさまたげ、あわれ肩をもおさうるばかりに覚えたりき。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今までざわざわと動いていた私の胸が一度に凝結ぎょうけつしたように感じた。私はまた逆に頁をはぐり返した。そうして一枚に一句ぐらいずつの割でさかさに読んで行った。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その代り腹へ入って胃液のために凝結ぎょうけつしたり、あるいは外の酸類にあって凝結するから胃と腸とがその凝固かたまりいて消化させるまでに何ほどの手数をかけるか知れない。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
そして、次の瞬間には、その冷たいものが、石のように凝結ぎょうけつして、彼をいよいよ頑固にした。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
つとに測る能わざるに至り、大に楽みをがれし心地せしが、今また暖炉のかたわらに、置ける電池凝結ぎょうけつして破壊し、ために発電するによしなく、また風雨計の要部をおおう所の硝子板がらすいた紛砕して
同時に多くのイズムは、零砕れいさいの類例が、比較的緻密ちみつな頭脳に濾過ろかされて凝結ぎょうけつした時に取る一種の形である。形といわんよりはむしろ輪廓りんかくである。中味なかみのないものである。
イズムの功過 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
征衣せいいのまま昼夜草鞋わらじを解かず、またその間にはしばしば降雪にい、ために風力計凝結ぎょうけつして廻転をとどむるや、真夜中にるが如き寒冽なる強風をおかして暗黒あんこく屋後おくごの氷山にじ登り
病人が牛乳を沢山ガブ飲みしたら胃液や外の酸類で凝結ぎょうけつして胃を悪くするにまっている。だから医者はよく食事法を病人に教えなければならん。単に不消化物が悪いという位では訳が分らん。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
... 知らないと何でもそう間違えるよ。そこで鶏卵は何故にスープや珈琲こーひーのアクを取るやというのは」中川「玉子の蛋白質は熱に逢うと凝結ぎょうけつするから流動物と混ぜて熱を加えると流動物中の固形物や汚塵おじんを ...
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)