鼾声いびきごえ)” の例文
旧字:鼾聲
人の鼾声いびきごえや、犬の吠えるのがきこえる。電燈だけが、ます/\明るくなっていた。憲兵の靴が、廊下にコットン/\とひびいた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
その戻りに、そっと、疑問の駕籠のわきを、さりげなく通って見ると、中からかすかに鼾声いびきごえれてくる……。快げに、誰か、眠っているのだ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガラッ八の巨蛇おろちのような鼾声いびきごえが、完全に若い女二人を護り通したのでしょう。
……かすかな鼾声いびきごえになってゆく。武蔵は眠りについたらしい。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)