黒門町くろもんちょう)” の例文
上野広小路の山崎(油屋)の横を湯島ゆしま男坂おとこざかの方へ曲って中ほど(今は黒門町くろもんちょうか)に住んでいました。この人が常に私の宅へ遊びに来ている。
春泥の引越荷物を運搬した運送店を発見して(それは同じ上野でもずっと隔った黒門町くろもんちょう辺の小さな運送店であったが)
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ひとまわりごとに黒門町くろもんちょうの四ツ目屋へ行って生きた蠑螈を買い、数負さまの天井へ打ちつけておりました。……咒いの秘伝では、ひとまわりを一日でもすごすとその人の身に祟りがあるということ。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
が、どう考えて見てもみちがない。やっと思いついたのは、伊藤を通じて一、二度会ったことのある黒門町くろもんちょうの救世軍小隊長の秋原さんを訪ねて、とにかく今夜一晩を泊めてもらおうということであった。
「……黒門町くろもんちょう
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)