麦稈帽むぎわらばう)” の例文
旧字:麥稈帽
麦稈帽むぎわらばうをかぶつた単衣ひとへの古びた羽織を着たかれの姿は、午後の日の暑く照る田圃道たんぼみちを静かに動いて行つた。町は市日いちびで、近在から出た百姓がぞろ/\と通つた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
銀座に柳のうわつてゐた、汁粉屋しるこやの代りにカフエのえない、もつと一体に落ち着いてゐた、——あなたもきつと知つてゐるでせう、云はば麦稈帽むぎわらばうはかぶつてゐても、薄羽織を着てゐた東京なのです。