鳥辺野とりべの)” の例文
水にも、火にも、ごうの尽きなかったおばさんの魂魄こんぱく、今度こそは、あの鳥辺野とりべのの煙できれいな灰となってしまって下さい。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いよいよ夫人を鳥辺野とりべのの火葬場へ送ることになった。こうしてまた人々は悲しんだのである。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
『野辺送りの日には、花を持って、鳥辺野とりべのまで、行ってあげよう』
十七日の月が出てきて、加茂川の河原を通るころ、前駆の者の持つ松明たいまつの淡い明りに鳥辺野とりべののほうが見えるというこんな不気味な景色けしきにも源氏の恐怖心はもう麻痺まひしてしまっていた。
源氏物語:04 夕顔 (新字新仮名) / 紫式部(著)