飯室谷いいむろだに)” の例文
勿論、凡者ただもの所業しわざではない、夕方、横川をわたって飯室谷いいむろだにへかかった天城四郎とその手下どもの襲ったことから始った事件であった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なつかしい兄はもうここからほど近い飯室谷いいむろだにの大乗院にいる。骨肉のみが感じるひしとしたものが思慕の胸を噛んでくる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「登りましたついでと申してははばかりがございますが、根本中堂、山王七社を巡拝して、なつかしい飯室谷いいむろだにへも久しぶりに、立ち寄って参るつもりです」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、この頃になって、毎夜のように、山には出火が頻々ひんぴんと起った。ゆうべは、横川よかわの大乗院の薪倉まきぐらから、おとといの夜は、飯室谷いいむろだにの滝見堂から、小火ぼやがあった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)