須走すばしり)” の例文
須走すばしり口に下山、第二回は吉田口から五合目まで馬で行き、そこのむろに一泊、御中道を北から南へと逆廻ぎゃくまわりして、御殿場に下りた。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
須走すばしりの立場で馬車を降りると丁度其処に蕎麦屋があつた。これ幸ひと立寄り、先づ酒を頼み、一本二本と飲むうちにやゝ身内が温くなつた。仕合せと傍への障子に日も射して来た。
木枯紀行 (新字旧仮名) / 若山牧水(著)
須走すばしりの村へつくと、四人は手分けして買物をはじめた。キャラコさんは、そのちょっとの暇を利用して、すぐそばの茶店で、山中湖ホテルにいる立上氏にこんなふうに手紙を書いた。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
多分は須走すばしりで出逢ったコカワラヒワの方であろうと思う。
須走すばしりは鎌倉街道ではあるが、山の坊という感じで、浅間あさま山麓の沓掛くつかけ追分おいわけのような、街道筋の宿駅とは違ったところがある。
不尽の高根 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
須走すばしりの方へ峠を降りきると、四人は昼食をするために道ばたへ立ちどまった。
キャラコさん:04 女の手 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
私が富士山の御殿場口と、須走すばしり口の間で見たのは、雪解の痕が砂を柔かく厚く盛り上げて、幾筋ともなく流れているのが、二合目または一合目辺で、力が尽きて停止したままの状態を示していた。
高山の雪 (新字新仮名) / 小島烏水(著)