順風耳じゅんぷうじ)” の例文
ガラッ八の八五郎は生得の順風耳じゅんぷうじを働かせて、江戸中からこんな怪奇なニュースを嗅ぎ出して来ては、親分の平次の出馬をせがむのでした。
おまけに今度は全体の遣口やりくちが、以前よりもズット合理的になって来たらしく、友吉親仁おやじの千里眼、順風耳じゅんぷうじを以てしてもナカナカ見当が付けにくい。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
順風耳じゅんぷうじガラッ八の、むことを知らぬ猟奇癖りょうきへきが、とんだところで、とんだ役に立つことは、ずいぶんこれまでも無い例ではなかったのでした。
……このおやじの千里眼、順風耳じゅんぷうじのモノスゴサを今となって身ぶるいするほど思い知らされたものだが、しかしこの時には所謂いわゆる騎虎きこの勢いという奴だった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
得意の順風耳じゅんぷうじ、千里眼を働かせて、半日で他の人の十日分ほど聴き込んだ材料ねたを、平次の気紛れで、闇から闇へ葬られそうでならなかったのです。
この貧乏な瘠せおやじが、天下無双の爆薬密売買とドン漁業通の上に、所謂、千里眼、順風耳じゅんぷうじの所有者だという事をこの時がこの時まで知らなかったんだからね。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)