雄物川おものがわ)” の例文
そうかと思うと秋田県の雄物川おものがわすじから、津軽地方つがるちほうまでのかなり広い区域で、ただ田植の日の豆の粉握飯こなむすび、または強飯こわめしのような食べ物だけを、コビリノママという例もあるのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
酢川岳すがわだけの山々が北に走っていくつかにわかれ、その谿谷けいこくが深く切込んだところに雄物川おものがわの上流が白い飛沫しぶきをあげている。峠道はその谿流にそって、断崖の上を曲り曲り南北に走っているのだ。
峠の手毬唄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
正月十六日を「にお積み」というのは、羽後うご雄物川おものがわ流域などの風である。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
羽後うご由利郡の本荘ほんじょう西方から、雄物川おものがわ平原の浅舞あさまい横手へ越える峠は、海岸部の方が表口、肥後ひご山鹿やまがの奥岳間村から筑後ちくごの矢部へ越える冬野の山道は、複雑していたが肥後の方が表だったと記憶する。
峠に関する二、三の考察 (新字新仮名) / 柳田国男(著)