隻眼せきがん)” の例文
それなので、今後の維持のためには、どうあってもあの隻眼せきがんを押してまで、津多子様は再び脚光を浴びなければならなくなったのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
窓から見える草間の離室はなれへ、あさに晩にこっそり出入りしている隻眼せきがんのお侍が、栄三郎様と同じ作りの陣太刀をいていることを知って
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
片眼の上瞼がダラリと下がって、ほとんど瞳をおおうていて、隻眼せきがんのように見えている。それは醜い老女であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
隻眼せきがん隻腕せきわん、見上げるように高くて痩せさらばえた丹下左膳。猫背のまま源十郎を見すえて、顔の刀痕が、引っつるように笑う。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
言葉を換えて云えば、火術弩かじゅつどが落ちていた——つまり、当時犯人がいた位置のことなんだよ。しかも、あの隻眼せきがんの大女優が……
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その証拠にはいちはやく乾雲を鞘走らせた隻眼せきがん片腕の刃妖左膳と、一歩さがって大刀の柄に手をかけた月輪軍之助の両剣妙を前面にひかえて、泰軒先生
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)