長雨ながさめ)” の例文
いつか世の中は長雨ながさめにはいり出していた。十日たっても、二十日たっても、それは小止おやみもなしに降りつづいていた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
長雨ながさめの蒼くさみしくたはれてしその日かの日もいまは恋しき
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
月初めからずっと長雨ながさめが続き、此頃はとりわけてあの方もお見えにならなかった。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
私の留守の間、すっかり打棄うっちゃらかしてあったので、草も木も茂るがままに茂っていたところへ、程もなく長雨ながさめになってしまったものだから、前よりも私の家は一そう鬱陶うっとうしい位であった。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)