鋸屑のこくず)” の例文
例によって例の配達手君が置いて行った一塊の小包を開いて見ると、厳重に包装した木箱の中から、鋸屑のこくずに埋めた小さな二つの硝子ガラス瓶が出て来た。
眼を開く (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なんだか少し勿体もったいないような気がする。こんなものを使わなくても、何か鋸屑のこくずでも固めたようなもので建築材料を作ってそれで建てたらいいだろうと思う。
ある日の経験 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
忙しく諸味を汲み上げるあいまあいまに、山で樹液のしたたる団栗どんぐりを伐っていることが思い出された。白い鋸屑のこくずが落葉の上に散って、樹は気持よく伐り倒されて行く。
まかないの棒 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
そして必ず、鋸屑のこくずがいっぱいはいってる黄楊つげの平皿と、赤い封蝋がいっぱいはいってるボール箱とが上にのっている。それは官省ふうの最下級をなすものである。国家の文学はまずそこで始まる。
「八、此鋸屑のこくずはどうだ」