鈴木三重吉すずきみえきち)” の例文
小宮こみや先生の紹介で鈴木三重吉すずきみえきち氏の未亡人の方から、『赤い鳥』に昔出ていた通俗科学の話をまとめて、一冊の本にしたいから、その校訂をしてくれというお話があった。
「茶碗の湯」のことなど (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ある日、昼の休みに講堂の裏で鈴木三重吉すずきみえきちの『瓦』と云う本を読んでいた。校長がぶらりとやって来て、此様な社会の暗黒面を知るような本を読んではいけないと云った。
私の先生 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
昔の雑誌編輯者というものは一見識を具えていて、なかなか圭角けいかくがあった証拠として、樗陰の例を二つ三つ引いて置こう。私が知っているのでは、樗陰が最も嫌っていたのは鈴木三重吉すずきみえきちであった。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
当時『新小説』の編輯主任は後藤宙外ごとうちゅうがい氏であったかあるいは鈴木三重吉すずきみえきち氏であったかあきらかに記憶していない。わたくしの草稿はその年十二月発行の『新小説』第十四年第十二巻のはじめに載せられた。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鈴木三重吉すずきみえきち君自画の横顔の影法師が壁にはってあったこともある。
夏目漱石先生の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
私はこの図書室で、ホワイト・ファングだの、鈴木三重吉すずきみえきちの『瓦』だのを読みました。平凡な娘がひととおりはそのようなものに眼を通す、そんな、感激のない日常でした。
文学的自叙伝 (新字新仮名) / 林芙美子(著)