金棒曳かなぼうひ)” の例文
隣のつま綿わたの師匠の家は弟子やら町内の金棒曳かなぼうひきやらでハチ切れるやうなかしましさです、多分この變事の噂でもしてゐるのでせう。
「どうもこの長屋に悪い女が来やあがって、いろいろよけいな口をきくもんですから、金棒曳かなぼうひきのかかあやがき共がその尻馬に乗りましてね、弱い者いじめばかりしてしようがありませんや」
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「向うの駄菓子屋の女房ですよ、——神田一番の金棒曳かなぼうひきで、町内のおかずの匂いまで嗅ぎわけて歩く女で」
「佐太郎の妹で、出戻りの四十女。お紺という、ちょいと色っぽい中婆さんですがね。こいつは、江戸一番の金棒曳かなぼうひきで、下女代りに兄の家の世話を焼いております」
「三軒長屋の裏から廻って、伝吉の家のお勝手から入りゃ、金棒曳かなぼうひきの駄菓子屋の女房も気が付くわけはねえ、灯が点いたのを見て伝吉が帰ったものと思い込んでいる」