醜面しこづら)” の例文
ただ醜面しこづらの一匹が、真赤に火のついた、燃えさしの木切れを取りあげて、まともに祖父の眉間へ突きつけたので、もし彼がたいをかはさなかつたものなら
そして物凄い醜面しこづらが、そこからにゆつとばかりに中を覗きこんで、まるで⦅皆の衆、いつたいここで何をしてゐなさるだね?⦆とでも訊ねるやうに、じろじろと眺めまはした。
と、醜面しこづらの化物たちが耳を敧てて手をさしだした。祖父はその意を悟つて、持ちあはせの銭を残らず掴み出して、犬にでも呉れてやるやうに、それを一同のまんなかへ投げだした。