かも)” の例文
そうして美を最も深く味わっている茶人たちが、この弊をかつてかもし今も酵しつつあるのである。「楽」と銘ある茶碗の如き、ほとんど醜くなかった場合はない。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その醜さについて、また醜さをかもした事情について、私の心は平らかではいられない。罪を見て安らかでいられる僧があろうか。器が悩むが故に私の心もまた悩む。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そこには人間と人間との反目が露出され、続いては人間と自然との疎遠をかもした。その結果、心は正から離れ、物は美から遠ざけられた。すべてのものに和合がない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
そこに見られる美は、驚くべき熟練の所産である。それを一日でかもされた美と思ってはならぬ。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
金権下に激しい上下の反目をかもした今日の状態といかに異なる光景であろう。工藝に現れたすべての醜さは一つに瓦解した社会組織に起因する。そこには暴虐があって相愛がない。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
私は日本に対する朝鮮の反感を、極めて自然な結果に過ぎぬと考えている。日本が自らかもした擾乱じょうらんに対しては、日本自らがその責を負わねばならぬ。為政者は貴方がたを同化しようとする。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
私は日本に対する朝鮮の反感を、極めて自然な結果に過ぎぬと考えている。日本が自らかもした擾乱じょうらんに対しては、日本自らがその責を負わねばならぬ。為政者は貴方がたを同化しようとする。
朝鮮の友に贈る書 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
人間は不正な事に満足し得る人間ではない。悲惨な事やさびしみに冷やかな人間ではない。圧迫や争闘は衷心ちゅうしんからの求めではない。今の世は不純な勢いをかもして、心ならずも醜い生活を続けている。
朝鮮の友に贈る書 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)