郭内かくない)” の例文
気もせいているので、彼は言いすてたまま、郭内かくないへ逃げこみ、すぐ屋形門へ入るのは避けて、鑁阿寺の堀橋を走り渡った。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
干潟伝ひがたづたいに、郭内かくないへ斬り込んできた前例もあることなので、そこは海面だからといって、決して安心はしていない。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼らの心臓部——つまり極楽寺坂の郭内かくないから——またその附近の高所低所から——火ノ手があがり出したのだった。潮風だし、傾斜地だし、一瞬に海をも染めてきたのである。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
必然、いまや郭内かくないはまるで手薄。——と見るや、どこかで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)