邂逅でつくわ)” の例文
と氣のついた時は、此曠野あらのに踏込んでから、もう彼是十哩も歩いてゐた。朝に旅籠屋を立つてから七八哩の間はみづたまりに馬の足痕の新しい路を、森から野、野から森、二三度人にも邂逅でつくわした。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
知らぬけもの邂逅でつくわした山羊の樣な眼をして、女は卓子テーブル彼方むかうに立つた! 然しアノ眼に、俺を厭がる色がちつとも見えなかつた。然うだ、吃驚びつくりしたのだ。唯吃驚びつくりしたのだ。尤も俺も惡かつた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)