遷幸せんこう)” の例文
時を一つに、比叡と並び立つならば、六波羅ごときは一朝いっちょうに圧倒し去ろう。さりとて、このさい叡山に帝の遷幸せんこうを見ずあっては、山門の気勢をごう。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日西天ニ没スとあるは、みかど隠岐島おきのしまへ御遷幸せんこうましまされた、この一事を指しておられるのであろう。三百七十余日とあるからには、明年のその頃に都へ御還幸、御位に復されるやも計られぬ。
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たった今、柳斎の右馬介から、自分だけは、遷幸せんこうの途中にあたる中国路方面のけわしい情勢を聞きえている。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「隠岐への遷幸せんこうにも、出雲までお供して、終始、心やさしい奉仕を尽くしていたそうな」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
反対に、吉野遷幸せんこうこのかた、諸州にひそむ忠誠の士は、みな悲憤してちあがった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)