遜色そんしよく)” の例文
が、批評も亦紅毛人の作品に遜色そんしよくのあるのは確かである。僕はかう云ふ荒蕪くわうぶの中に唯正宗白鳥氏の「文芸評論」を愛読した。
成程豊臣秀吉は岩見重太郎に比べても、少しも遜色そんしよくはないかも知れない。けれどもそれは明らかに絵本太閤記の主人公たる伝説的人物の力である。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
僕は「新感覚」に恵まれた諸家の作品を読んでゐる。けれども堀君はかう云ふ諸家に少しも遜色そんしよくのある作家ではない。次の詩は決して僕の言葉の誇張でないことを明らかにするであらう。
僕の友だち二三人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
これを現代の日本に行はれる西洋文芸の翻訳書にくらべてもあまり遜色そんしよくはないのに違ひない。もつと詳しく紹介すれば面白いかも知れないが、少し面倒くさくなつたからこれだけにとどめることにする。
日本小説の支那訳 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)