道行触みちゆきぶり)” の例文
ひげの長い、しゃ道行触みちゆきぶりを着た中爺ちゅうじいさんが、「ひどいですなあ」と云うと、隣の若い男が、「なに藪蚊やぶかですから、明りを附ける頃にはいなくなってしまいます」
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
道行触みちゆきぶりのおじさんが、「いや、これは御趣向」と云うと、傍にいた若い男が「湯灌ゆかんの盥と云う心持ですね」と注釈を加えた。すぐに跡から小形の手桶ておけ柄杓ひしゃくを投げ入れたのを持って出た。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)