連子窓れんじまど)” の例文
それが終って、もとの寝所へ戻ったとき、連子窓れんじまどがほのかに白んでいた。寝所まで送って来た周防が、帰ろうとするのを、甲斐が呼びとめた。
お駒は定吉と二人で玄關横の連子窓れんじまどから、伸び上つて道臣の後姿を見送りながら、こんなことを言つて笑つた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そこで、再び歌を思うことに気分を転じようとつとめる途端、ふと何かの気配を感じて、縁に沿うた連子窓れんじまどを見ました。そこに何やらの虫が羽ばたきをしている。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして、石場に面した連子窓れんじまどの雨戸を開けて、戸外そとに見入った。
連子窓れんじまどの障子がうっすら白んでいるようにみえた、頭は濁り、躯はふらふらし、なにかのぬけがらのような感じである。——妻のお石の姿が眼にうかんだ、甲だかな叫びごえが耳にまざまざと聞える。
おれの女房 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)