送葬とむらい)” の例文
待ちくたびれて源次の家へゆくと、これも送葬とむらいの帰りにどこへか廻ったとみえて、まだ帰って来ないと女房が気の毒そうに云った。
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その時は兄の代理として、祖母おばあさんのお送葬とむらいをするために出掛けたことがある。それぎりだ。すべては彼の境涯が許さなかった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
山城屋から三両という送葬とむらい料を取って置きながら、こんな投げ込み同様のことをするとは随分ひどいやつだと半七は思った。
半七捕物帳:13 弁天娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
露路のなかはひとしきり騒がしくなって、となりの送葬とむらいもとどこおりなく出てしまうと、半七ひとりを残して庄太は再びどこへか忙がしそうに出て行った。
半七捕物帳:23 鬼娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あくる朝、半七は師匠の送葬とむらいの様子を窺いながら妙信寺へ出かけてゆくと、師匠の遺骸は駕籠で送られて、町内の者や弟子たちが三四十人ほども付いて来た。
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
送葬とむらいの日に子分の庄太の奴が植木屋のあとをけて行って、その居どころを確かに見きわめて来たので、おれがあとから乗り込んで行って、奴を嚇かしてひと通りのことを吐かせた上で
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「皆さんはお送葬とむらいからまだ帰りませんかえ」
半七捕物帳:22 筆屋の娘 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)