赭熊しゃぐま)” の例文
一人は眼に張りのあるスラリとした可愛らしい娘だが、片っ方はずんぐり肥えた見るからに気の重くなるような赭熊しゃぐまの娘。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
地女じおんなを振りも返らぬ一盛ひとさかり。)そいつは金子かねを使ったでしょうが、こっちは素寒貧すかんぴんで志を女郎に立てて、投げられようが、振られようが、赭熊しゃぐま取組とっく山童やまわろの勢いですから
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先ほどからキョトキョトと博士の様子を眺めていた例の赭熊しゃぐまの娘は、この時忌々しそうに傍らの花を振返り
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ちょうどその時窓の外を、有明荘の崖下の素人屋しもたやに住んでいる例の花という美しい縫子が通りかかった。連れの赭熊しゃぐまの娘とも別れたと見え、何か俯向き勝ちに歩いて行く。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「あそこの赭熊しゃぐまの女のとなりで大数珠おおじゅずをくっているのは、あれは、いったい誰の女房だ」
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)