賓主ひんしゅ)” の例文
饗礼きょうれい鄭重ていちょうにして謝すべきに似たれども、何分にも主人の身こそ気の毒なる有様なれば、賓主ひんしゅの礼儀において陽に発言せざるも、陰に冷笑して軽侮の念を生ずることならん。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
賓主ひんしゅは、座をわかって、至極、打ちとけた容子である。そこへ、童子が、茶を献じる。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりは賓主ひんしゅ普通ふつうの礼儀などはそっちのけで、もうてんから打ちとけて対座した。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
間もなく二人の女官が来て、二つのはたを持って竇を案内していった。立派な門を入っていくと殿上に王がいた。王は竇の入って来るのを見ると階段をおりて出迎えて、賓主ひんしゅの礼を行った。
蓮花公主 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
賓主ひんしゅの間に周旋して事を弁ずるものもまた多くは余なりき。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)