貴郎あなたさま)” の例文
其れから間もなく御新造様は御亡おなくなり、貴郎あなたさまは伯母御様に手を引かれなさつて、粟野の奥へ行かしやる
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
百姓共の為めにお果てなされた長左衛門様の御恩を忘れてはならねえと、若い者等に言うて聴かせることで御座りまする——ぢやあ、貴郎あなたさまたしかに長二様とおつしやりました坊様で、イヤ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
貴郎あなたさまだ、其時丁度ちやうど十二三の坊様が、長い刀を持ち出しなされて、とつちやんの復讐かたきうちに行くと言ひなさる、其れを今の粟野あはのに御座る伯母御様が緊乎しつかり抱き留めておすかしなさる——イヤもう
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)