誓文神せいもんじん)” の例文
よねが、綱倉へかどわかされてきた晩——。彼は、番士の手槍を引っぱずして一太刀に斬ッて捨てて、もとの誓文神せいもんじんの抜け穴から姿を隠した。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
六軒家の梟林ふくろばやしに、荒れはてた誓文神せいもんじんほこらがある。この辺一帯、梟や渡り鳥の巣をかけるのが多く、冬になると綿屑わたくずのようなものがどのこずえにもからまって見えるそうな。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、綱倉から例の誓文神せいもんじんほこらへ出る抜け道までは、さほど遠くなく、充分地の理も見究みきわめてあるので、やや窪地くぼちになったやぶの中へザッ——と姿を隠してしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)