誄詞シヌビゴト)” の例文
譬へば、出雲人の系譜、又御大葬の際に称へた臣たちの誄詞シヌビゴト——これは系譜及び寿詞の様である——から推しても、さうした事が考へられる。
中臣寿詞以外、氏々の賀正事ヨゴト——誄詞シヌビゴトも同じ物で、其用途によつて別名をつけたまでゞある。
古くは各豪族各部曲から、代表者が出て、其々それぞれ伝来の寿詞ヨゴトを申した事、誄詞シヌビゴトと同様であつた事と思はれる。其文言は、中臣天神寿詞・神賀詞などに幾分似通うたものであらう。
国文学の発生(第二稿) (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此を「誄詞シヌビゴト」と言ふ。此は、寿詞ヨゴトの分れで、叙事詩の変つたものである。昔の人は、貴族が死ぬと、一年位、従者が其墓について居る。此従者の歌ふ歌が、誄詞シヌビゴトから分れて来て、挽歌となつて来る。
万葉集の解題 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)