註釈ちゅうしゃく)” の例文
旧字:註釋
圏点も無用、註釈ちゅうしゃくも無用、ただひたすらに心を耳にして、さて黙って引退ひきさがればよい。事情既にかくの如し、今さら何の繰言ぞやである。
翻訳遅疑の説 (新字新仮名) / 神西清(著)
わずか百年を隔てた祖先の文章は、もう註釈ちゅうしゃくがなくては我々には読めない。今日の文章はさらに一段と時代の制約を受けている。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
私は、その少数の友人にも、自作の註釈ちゅうしゃくをした事は無い。発表しても、黙っている。あそこの所には苦心をしました、など一度も言った事が無い。興覚めなのである。
自作を語る (新字新仮名) / 太宰治(著)
と渡辺さんが註釈ちゅうしゃくをした。団さんは最早もう店へ入って※甲の櫛を見ている。例にないことなので
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その音に耳をすまして二十秒ばかりで浮世のあかを流したり、海苔のりの裏だか表だかのどっちか側から一方的にあぶらないと味がどうだとか、フザけたことにかかずらって何百何千語の註釈ちゅうしゃくをつけたり
デカダン文学論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
全体で十三巻から成り、最初の四巻は解体新書を重訂したものでありますが、そのほかのものは玄沢が、註釈ちゅうしゃくとして附け加えたもので、そのなかにいろいろの大切な事がらが記されているのでした。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
時折註釈ちゅうしゃくが入る。
田園情調あり (新字新仮名) / 佐々木邦(著)