“褫(は)” の例文
しかし、幕府内でも最も強硬な主戦派の頭目として聞こえた小栗上野(おぐりこうずけ)の職を褫(は)いで謹慎を命じたほどの堅い決意が慶喜になかったとしたら。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
曾は家を没収せられ雲南軍にやられるということを聞かされて驚きおそれていると、やがて数十人の剣を帯び戈(ほこ)を操った武士が来て、そのまま内寝(いま)へ入って曾の衣冠を褫(は)いで、妻といっしょに縛った。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
お粂は性来の感じやすさから、父が戸長の職を褫(は)がれ青ざめた顔をして木曾福島から家に帰って来た時なぞも、彼女の小さな胸を傷(いた)めたことは一通りでなかった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)